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Fragment 1

2025年1月5日 午前7時4分
日本 某県某市 あるアパートの一室

電子音で目を覚ます。
見上げた天井が昨日と違う。
数度瞬いて、数秒停止。そこでやっと、昨日の夜に帰省から戻ってきたことを思い出した。
ぼんやりと窓の外に目を向ける。重たそうな灰色の雲が一面を覆っていて、これは予報通り雪が降りそうだとため息を吐いた。これさえなければ、あと一日、実家でのんびりできたものを。
正月休みはあと一日。今日が終われば、また仕事仕事の毎日が始まる。だらだらと布団に包まっていられるのは今日までなのだと、そう思ったら名残惜しくて、朝の知らせを止めるべくスマートフォンに手を伸ばした。

「何……母さん?」

表示されていたのはアラームではなく、着信を知らせるものだった。
何か忘れ物でもしていたのだろうか、にしたって朝からかけなくても良いのに。
あくびを噛み殺しながら、受話器のマークをタップする。もしもし、と声を出そうとする前に、慌てた様子の母の声が飛び込んでくる。

「なに、もぅ、今起きたとこなんだけど」
『じゃあまだ、朝のニュース、見てないんだね』

震える声に首を傾げる。テレビを見て、と急かす声に待ったをかけながら起き上がる。
たかだかニュースで何をそんなに。呑気に思う頭と裏腹に、何かあったのだと心臓は早鐘を鳴らす。
テレビをつける。
チャンネルを変える必要はなかった。

『繰り返します。
昨夜未明、アメリカ・ロサンゼルスの──にて、──より声明が発表され──』

硬い表情のアナウンサー。辺りから聞こえるスタッフたちの焦った声。電話の向こうの母が嗚咽を漏らす。その間にもスマートフォンが震え、誰かからメッセージが届いていることを知らせる。
テレビはニューススタジオから、録画映像へと切り替わる。

『彗星Fと名付けられたこの星は、2025年7月5日に地球に衝突し──我々人類は、その日を最後に滅亡するでしょう』
『我々は……この星に生きる生命は……宇宙からの襲撃者に、殺されるのです』

米国時間2025年1月4日正午。
某機関から発せられた終末の知らせは、世界中のニュース番組やインターネットを通じ、瞬く間に世界中へと広まりました。
あなたは終わりの知らせを、どこで聞いたのでしょうか。そして、何を思ったのでしょうか。

  • 終約の方舟

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